「オーストラリア・メルボルンにおけるパレスチナ人とユダヤ人の対話:マヘル・ムグラビ(Maher Mughrabi)とAJDS(the Australian Jewish Democratic Society)の役割」
<第1班 第1回研究会>
■報告者 :マイケル・ファーマノフスキー(龍谷大学国際文化学部助教授)
■開催場所 :龍谷大学瀬田キャンパス 智光館B102共同研究室
■開催日時 :2006年6月25日(日)10:30-11:15
■議事録番号 :060101
【報告の概要】
 報告者のファーマノフスキー氏は、オーストラリア・メルボルンにおけるパレスチナ系住民とユダヤ系住民との間におけるイスラエル・パレスチナ問題の和解をめざした対話の試みについて紹介した。
 メルボルンのユダヤ人社会(人口約4万5千人)は、保守的な正統遵守派の勢力が主流を占めている。それに対し、オーストラリア・ユダヤ人民主協会(AJDS)などに代表される「進歩的」諸団体は、第一に、イスラエルの政策を批判することによって「反ユダヤ主義的」というレッテルが貼られてしまう状況に対して異議を唱えるなど、オーストラリアのユダヤ人社会が一枚岩的にイスラエル政府を支援しているわけではないことを示してきた。また第二に、イスラエルとパレスチナの「二国」間での紛争解決をめざし、同様のスタンスをとるオーストラリア・ムスリム社会の側の個人や組織との連携をめざしてきた。
 他方、メルボルンのムスリム社会(人口約8万人)は、非アラブ系住民が多数を占めており、特にイラク戦争後は、ムスリムがテロリストと同一視されることへの恐怖感から、政治的問題からは距離を置こうとする風潮が支配的である。アラブ系住民や中東問題研究者などはパレスチナ運動を支持しているが、そうした勢力は非常に限定的な影響力しかもっておらず、また活動家たちはユダヤ人の歴史や文化に対して無理解である場合が多い。そのなかで、マヘル・ムグラビ(1973-)は、イギリスで教育を受け2002年にオーストラリアに移住してきたパレスチナ系ジャーナリスト・活動家であるが、英語とアラビア語のバイリンガルであり、アラブやユダヤ人の歴史と文化にも造詣が深く、一方でアラブ側の偽善的態度などに対しては批判を行い、他方でユダヤ人問題への共感の目をももった貴重な存在である。
 ファーマノフスキー氏は、マヘル・ムグラビに代表される新しい世代のパレスチナ系活動家のスタンスを高く評価し、彼らと「進歩的」ユダヤ系活動家たちとの対話が始められてきていることを紹介するとともに、そうした交流が今後ますます進展することを期待すると述べた。

【議論の概要】
 討論ではまず、イスラエル外のユダヤ人たちの状況や、オーストラリアのユダヤ人社会の特徴などについて詳細な補足説明がなされた。そしてファーマノフスキー氏は、パレスチナ外のパレスチナ人が、亡命者であるという点では皮肉にもユダヤ人と同様の境遇にあることを指摘し、そうした状況が、和解に向けてプラスに作用する可能性があると指摘した。
■資料詳細 <資料1
 
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