「【2006国内シンポジウム?】日本人論への問い」
<2006年度国内シンポジウム第1弾>
■報告者 :ベフ・ハルミ (スタンフォード大学文化社会人類学部名誉教授)、ブルース・ホワイト(同志社大学講師、アフラシア公募研究員)、ジュリアン・チャプル(龍谷大学国際文化学部講師)
■開催場所 :キャンパスプラザ京都4F 第4講義室
■開催日時 :2006年10月6日(金) 14:00-18:00
■議事録番号
基調講演
「日本における市民社会、人権、多様性」
  ベフ・ハルミ(スタンフォード大学名誉教授)
ディスカッサント:李洙任(龍谷大学経営学部教授)

報告(1)
「文化史にもとづく世界地図の再編――日本の新たなグローバル・アイデンティティ形成におけるレゲエ、太平洋諸島音楽、民衆文化の役割」
  ブルース・ホワイト(同志社大学講師・アフラシア公募研究員)
  
報告(2)
「在日外国人、国際結婚、アイデンティティ、権利――日本の不鮮明な未来」
  ジュリアン・チャプル(龍谷大学国際文化学部講師)
ディスカッサント:グレッグ・プール(高千穂大学助教授)


【報告の概要】
 国内シンポジウム第1弾では、「日本人論への問い」をテーマに、従来、社会の同質性が強調されるとともにその閉鎖性がしばしば指摘されてきた日本を事例として、日本におけるマイノリティとしての在日外国人を取り巻く状況を取り上げるとともに、在日外国人社会の多様化、変質によってマジョリティである日本人の意識・アイデンティティがどう変容しつつあるのか、に迫った。
 まず、アメリカにおける日本研究の第一人者であるハルミ・ベフ氏(スタンフォード大学文化人類学部)が、市民社会概念を用いて、日本社会の多様性と少数派の人権に対する配慮の状況について論じた。ベフ氏は、日本の市民社会領域における近年の大きな変化として在住外国人数の増加と多様化に注目しつつも、日本において日本人と外国人との共生の実現にはいまだ課題が多いとし、その理由として日本の市民社会が「同質性のハビトゥス」(Habitus of homogeneity)に染まっているためである、と主張した。
 これに対してブルース・ホワイト氏(同志社大学社会学部、2006年度アフラシア公募研究員)は、レゲエ・バンドのファンたちが織り成す新たな世界観とグローバルなアイデンティティの形成に注目し、自然との共生や文化的多元主義を強調するレゲエの世界に触れることを通じて、日本の若者たちが新しいライフスタイルと自己表現のあり方を模索している様子を論じた。そして、多元的価値を受容し、レゲエを通じて世界の文化的地図を描きなおそうとする彼らこそが、変わりつつある日本社会を映し出す鏡であると主張した。
 ジュリアン・チャプル氏(龍谷大学国際文化学部)は、日本人をめぐる国際結婚の現状を取り上げ、現在、15組に1組といわれるほどに増加した国際結婚を通じて、日本社会の同質性はすでに大きく変わってきている、とした。だがその一方で、チャプル氏は、外国人配偶者や国際結婚による子供たちの市民権やアイデンティティの問題が日本では十分に議論されていないとして、日本の政策的対応の遅れを批判した。
 以上のように、3者の日本社会分析は異なっているが、グローバル化が進む中で日本社会の変容を求める声が高まっていること、それとともに「日本人論」再考が問われていることが浮き彫りになった興味深いシンポジウムとなった。


  
■資料詳細 
 
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