「植民地主義とムスリムの尊厳をめぐる論争?」
<2006年度第3回国際ワークショップ 「近代性、暴力、社会変動」>
■報告者 :ルビー・ラール (エモリー大学中東・南アジア研究学部)
■開催場所 :龍谷大学瀬田学舎智光館B103共同研究室
■開催日時 :2007年1月29日(月)11:00-18:00
■議事録番号
ディスカッサント:山根聡(大阪外国語大学外国語学部助教授)

 ラール氏の報告は、従来、女性の教育と地位向上に貢献したと言われてきたナズィル・アフマド(1830-1912)の小説の検討を通じて、アフマドが女性の解放ではなく、むしろ女性によって「尊敬すべき(respectable)」家父長的家族制度が守られ続けることを重視していたことを明らかにした。アフマドの時代の社会改革運動において、女性は主体(subject)でも改革の対象(object)でもなく、論争の蚊帳の外におかれていたのである。
 ディスカッサントの山根氏は、アフマドの関心の焦点がムスリム男性なのは、植民地主義のジェンダー関係においてインドのムスリム男性が被植民地化された女性的位置におかれ内的葛藤を抱え込むことになったためだと指摘した。また山根氏は、アフマドはイギリス人植民者側の意にもかなうように、伝統的立場と新しいアイデンティティとのバランスの重視を図ろうとしていたのではないかと述べた。
 討論では、1857-59年のインド大反乱の影響など歴史的・文化的コンテクストとアフマドの小説との関連についてや、アフマドの小説の読者のジェンダーも問題とすることができるのではないか、といった問題が議論された。
■資料詳細 
 
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