「村落共同利用地の変容と農業の集約化」
<第2班第3回研究会>
■報告者 :柳澤悠(千葉大学人文社会科学研究科)
■開催場所 :京都大学東南アジア研究所 北棟2階「東南亭」
■開催日時 :2006年12月3日(日)13:30−17:30
■議事録番号 :06020301
【報告内容】
柳澤氏は、南アジアにおける村落共同利用地の変容、具体的には私有地化の進行による共同利用地の減少について、ボズラップの『農業成長の諸条件』を援用しながら、日本・スイスの事例を参照して明らかにした。
ボズラップは、人口増加によって作付け地化する土地の大部分は、休耕地や放牧地といったすでに利用されたことのある土地であることを指摘するとともに、人口増加は土地あたりの労働投入量の増加をもたらし、農業雇用量を農業産出量よりはるかに高い率で増加させるとしている。柳沢氏はこのようなボズラップの議論を援用すると同時に、日本における入会地の事例及びスイスの村落における共同地の事例を参照しつつ、農業成長の一般的形態において、村落共同利用地を含む「農業周辺地」は中核農業生産の補完物であり、耕地の外延的拡大とは、こうした周辺地を開墾によって中核的農業用地化することであるというように、考え方を転換する必要があると述べた。その上で、旧周辺農業用地を含めた土地あたりの労働投入の増大と土地あたり生産高の増大を農業の集約化とするならば、農業の集約化が農業成長の一般的形態といえるのではないかと指摘した。そして、こうした集約的な農業方法の発展が、村落共同利用地の機能を低下させ、村落共同利用地を減少させていく要因といえるのではないかと結論づけた。
討論では、ボズラップの議論は農業技術を考慮しておらず、人口圧によって土地あたりの労働投入が増えても、必ずしも農業技術が同時に発達するわけではないのではないかという指摘がなされた。また、インドと日本の事例を比較する際、インドにおいてはカーストの影響が強く、比較が難しいのではないかという指摘がなされた。
■資料詳細 
 
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