「19世紀前半期におけるベンガル製塩業衰退の再検討―燃料問題を中心に」
<第2班第3回研究会>
■報告者 :神田さやこ(慶應義塾大学)
■開催場所 :京都大学東南アジア研究所 北棟2階「東南亭」
■開催日時 :2006年12月3日(日)13:30−17:30
■議事録番号 :06020302
【報告内容】
神田氏は、19世紀前半期のベンガルにおける製塩業が衰退した原因を、主に燃料の問題に焦点を当てて明らかにした。従来の研究では、ベンガルにおける製塩業の衰退は、イギリスからの輸入増加が主要因とされ、イギリスの植民地支配による脱工業化の典型例と考えられていた。こうした従来の研究の問題点として神田氏は、イギリスとベンガルという2国間の関係枠組みによってベンガル製塩業の衰退を議論しているという点をあげ、ベンガル製塩業の衰退の原因を探るには、ベンガル製塩業の内的要因、当時の製塩業をめぐる政治的・経済的環境が重要であると指摘した。
神田氏は、ベンガル製塩業衰退の内的要因として、労働力の問題、つまり他業種との労働力争奪により製塩労働者の賃金が高まったこと、消費者の嗜好の問題、つまり消費者が好むガンジス川の水で作った塩を増産することによって製塩コストが高まったこと、燃料の問題、つまり燃料となるわらの価格高騰によって製塩コストが高まったこと、の3点を挙げた。こうした要因からベンガル製塩業は他地域の製塩業との競争に敗れ、イギリスからの大規模輸入が始まった時にはすでに衰退していたと、神田氏は指摘した。
議論では、消費者の嗜好による選択だけではなく、社会構造の変化、例えば都市の労働者層の増加によって消費者の選択が変わったという面もあるのではないかという指摘がなされた。
■資料詳細 
 
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