「日本における共同体の権利」
<2007年度第4班第2回研究会>
■報告者 :熊本一規 明治学院大学国際学部教授
■開催場所 :龍谷大学深草キャンパス 紫英館第1共同研究室
■開催日時 :2007年7月13日(金)15:00-18:00
■議事録番号 :070402
【報告の概要】
江戸時代に形成された「山の入会」、「海の入会」、「川の入会」は、山林や漁場を総有的に支配する「共同体の権利」であった。総有とは「単に多数人の集合にとどまらない一箇の団体が所有の主体であると同時にその構成員が構成員たる資格において共同に所有の主体であるような共同所有」のことである。明治以降、近代法の整備に伴い、「山の入会」は民法で「入会権」と規定され、「海の入会」は、明治34年漁業法により、漁場を総有的に支配する権利から漁業を営む権利と変更を加えられたうえで、漁業組合に免許される「専用漁業権」とされ、昭和24年漁業法では漁協に免許される「共同漁業権」とされた。「川の入会」については、近代法における規定はないものの、判例により、慣習に基づく「水利権」として認められている。しかし、これら共同体の総有の権利は、「近代化」や「開発」の障害となるため、国や産業界から目の敵にされ、種々の方法で違法に侵害されている。
 本報告では、特に漁業分野を中心に、「共同体の権利」が如何に侵害されているかを解説した。例えば、漁業権が漁協に免許されていることを理由に、漁協が権利者としてダムを所有する電力会社が支払った補償金を受け取り、その結果、被害漁民たちは補償金のわずか一部しか手にしなかった例があるという。
 最後に報告者は、タイ北部の少数民族が居住する山林において日本の入会と同様の慣習がみられ、それがコミュニティフォーレストとして位置づけられている例など、東南アジアにおける共同体の権利に関する事例を紹介した。

【議論の概要】
日本、沖縄、東南アジア、アフリカなど、それぞれの地域における、人口圧力と資源管理の方法にかかわる話題が中心となった。例えば、人口増加などにより資源が枯渇しそうになった場合、どのような条件から入会のような慣行が生まれるのかといった質問が出された。
■資料詳細 <資料1
 
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