「【第2回国際セミナー】誰のための『食の安全・安心』?グローバルなフードシステムにおいて消費者・国民とは・・・」
<第2班第2回国際セミナー「環境と資源をめぐる紛争解決」>
■報告者 :田中敬子(ケンタッキー大学准教授)
■開催場所 :龍谷大学深草学舎紫英館第1共同研究室
■開催日時 :2007年6月21日(木)10:00−13:00
■議事録番号 :070621
 BSEや口蹄疫などの感染症が問題となった1980年代以降、食に対する危機意識は、国民のあいだで高揚している。このような背景の下、報告者の田中敬子氏は、グローバルなフードシステムという空間において、安全・安心な食品を農家から食卓へと届ける際、その責任義務の分担を誰がどのようにして決めるのか、「消費者(consumers)」・「国民(citizens)」・「お客様(customers)」という3つの主体に着眼して、社会学的に考察を試みるものであった。
 市場と国家のあいだには、消費者・国民・お客様といった主体が存在している。国家というものは、国民なしには存在しない。同様に、市場はお客様なくしては成立しない。したがって、「国家―国民」の関係と「市場―お客様」の関係は、それぞれパラレルな関係にある。他方で、消費者は、「国家―国民」の関係と「市場―お客様」の関係の両方に位置するもの、すなわち、消費者は国民であると同時に、お客様でもある。
 しかしながら、グローバルなフードシステムという空間では、消費者および国民という分類は不定的・流動的なものとなるため、「消費者=国民」と「消費者=お客様」という図式は成立しにくい。田中氏は、ケーススタディとして、アメリカ・ニュージーランド・日本を対象とした牛肉のフードシステムに焦点を当てて、1)アメリカと日本では「消費者=国民」となっている一方、他方でニュージーランドでは「消費者≠国民」であること、2)アメリカとニュージーランドでは「消費者=国民」であるが、日本では「消費者≠国民」となっていると指摘した。
 さらに田中氏は、WTO等の食品安全管理制度に着目するものの、それらによる調整は困難であると指摘した。なぜなら、1)公衆衛生よりも貿易促進のほうが優先されているからであり、また、2)規則規程を厳守する能力差が加盟国間においてみられるからである。それゆえWTOは、輸出国家と輸入国家、加えて、輸出業者と輸入業者という、4つの主体に対する責任分担メカニズムを構築する必要がある。
 フロアーからは、「消費者」と「お客様」の定義と概念の妥当性について、主として経済学の視点から議論がなされた。
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