「戦士共同体、ビジネス、土地紛争―パプアニューギニア高地におけるコモンズの発現形態―」
<2007年度第4班第3回研究会>
■報告者 :塩田光喜 アジア経済研究所新領域研究センター主任研究員
■開催場所 :龍谷大学深草キャンパス 紫英館6階会議室
■開催日時 :2007年10月20日(土)15:00-18:30
■議事録番号 :070403
【報告の概要】
ニューギニア高地社会の政治・軍事的主権団体は村(インボング語ではコンブ)という戦士共同体である。戦士共同体は一体的集団として村の土地全体を所有する。本報告は、ニューギニア高地で森林伐採を行うニュージーランドの製材会社と、地元のインボグ族アンブプル村の住民との間で起きた対立を題材としながら、貨幣経済の論理と戦士共同体の論理との衝突の場面とその後の経緯を描いた。
 戦士共同体では、土地の処分権は戦士共同体を構成する家長達の合議によって決せられる。そして、村の土地の使用・収益権は戦士共同体を構成する個々の家長達が保有する。個々の家長の土地保有権は戦士共同体=村のメンバーシップの義務の履行によって保証される。村の戦い、儀式、賠償交渉への参加が戦士共同体全体の義務である。これは、近代的土地所有権の概念とは全く性格を異にする。そして、そうした土地所有の形態はパプアニューギニア国家の土地法(Land Groups Act, 1974)によって、「部族保有」として法的に追認されている。こうした部族保有地を利用する外部者(たとえば外国企業)は村から国に土地を売ってもらい、国からリースするという形で、土地にアクセスする。しかし、村人達はこうした外部者もまた、メンバーシップを履行すべき、ないしはそれに代わる義務を果たすべきであると考える。
 アンブプル村の例では、村人は製材会社がリースされている土地で一方的に巨額の利潤を得ているとして憤慨し、会社に直接抗議に行った。戦士共同体の論理からいえば、村の土地を使う立場の者は、その立場に準ずる、村に対して奉仕する義務があると考えたためである。しかし、製材会社側は、村人の祖先が村の土地を国に売却したという契約書をたてに態度を変えなかった。そのため、最終的に、村側は製材会社に伐採許認可権を与えたとされる政治家を失墜させて、製材会社から伐採権を取り上げる、という結末をみたのである。

【議論の概要】
コメンテーターの則竹氏は、親族関係との関連でインボング族の土地の所有形態を尋ねた。また、この事例から判断すると、国家権力と村の権力が対立した場合でも、村側は国家の枠組みの中で抗議行動を起こしているのであり、村も政治・軍事的な「主権」を持つとする見方には違和感があるとの意見も一部あった。
■資料詳細 
 
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