「生存基盤確保型の発展と私的所有権―方法論的覚書―」
<第2班第3回研究会>
■報告者 :杉原薫(京都大学東南アジア研究所)
■開催場所 :京都大学東南アジア研究所・東棟2階第一セミナー室(207)
■開催日時 :2007年6月24日 (日曜日) 午後1時−午後5時半
■議事録番号 :07020303
 報告者の杉原氏は、これまで考えられてきた単線型の発展径路を相対化する意図から、3つの発展経路をあげ、考察してきた。2006年12月の当センターの研究会(共催)での報告「東南・南アジアの経済発展径路と資源・エネルギー問題―歴史的展望」においても、西ヨーロッパのように労働生産性を志向したものでもなく、東アジアのように土地生産性の向上に収斂するものでもない、南アジア型「生存基盤確保型」経済発展径路の存在を提起した。本研究会での報告は、こうしたこれまでの議論を受けてのものである。
本報告で杉原氏は、発展径路について熱帯と温帯という気候の区別から、熱帯における発展径路について論じた。世界史的に見て画期的な人口増加がはじめて起こったのは熱帯であるムガル期のインドにおいてであった。他にも19世紀のインドネシアにおける人口増加など、熱帯において膨大な人口を長期にわたって維持する能力を持った社会をどう理解するか、こうした文脈から南アジア型の「生存基盤確保型」発展径路についての考察を行っていった。
温帯域では、資源が稀少であるという前提のもとで、国家が土地等の排他的所有権を保護する制度として私的所有権が成立し、それが資本主義の発達に特殊な役割を果たしていった。しかしながら、熱帯域では資源の希少性は雨季と乾季で決定的に異なり、資源は常に稀少であると同時に潤沢でもありうるのである。このような特徴の差異が発展径路の差異を導く一要因ではないかと指摘した。
討論では、ムガル帝国は乾燥地帯からインドをはじめとした南アジアに拡大してきたという点から、異なる発展径路間の関係について指摘がなされた。
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