「【日印文化交流50周年記念 国際シンポジウム】                                   インドと日本―過去の回顧と未来への展望」
<主催:龍谷大学・Indian Council for Cultural Relations                               共催:龍谷大学アフラシア平和開発研究センター・龍谷大学国際文化学会・インド大使館・           南アジア学会>
■報告者 :ブリジ・タンカ、ウピンドラ・シン、赤松徹真、パーラティー・ラエ、ラディカ・シンハ、K.T.ラヴィンドラン、ラヴィ・ヴァスデーヴァン
■開催場所 :龍谷大学大宮キャンパス 清和館3F
■開催日時 :2007年10月5日(金)
■議事録番号
 本国際シンポジウムは、日印文化交流50周年を記念し、特に仏教学の領域でインドとゆかりのある龍谷大学で開催された大規模なシンポジウムであった。インドから迎えた報告者6名と、龍谷大学の研究者をまじえて、1)インドと日本の仏教―歴史的な視点から、2)トランスナショナルなネットワークと社会変化、3)アジアの伝統と革新、という3つのセッションに分かれて議論が行われた。
 セッション1では、ブリジ・タンカ氏が「インドと日本―近代における仏教徒のネットワークと汎アジア的夢」というタイトルで、日本の近代仏教成立の歴史を国家形成と絡めて論じた。さらに、19世紀末から20世紀初頭にかけて登場した思想家や新宗教の創始者たちが描いた、アジアにおける仏教ネットワークの現代的な意義をめぐり、議論がかわされた。続いてウピンドラ・シン氏が、「グローバル化した世界における仏教の復興―インドと東洋の影響力」というタイトルのもと、国際化するチベット仏教や、インドで盛んなスピリチュアル・ツーリズム、そしてダリト(指定カースト)の仏教への改宗、度重なる仏教遺跡の発見など、今日的な事例から仏教の現在を明らかにした。赤松徹真氏は、「近代における日本仏教徒のインドとの交流」と題して、初期仏教研究において指導的な役割を担った大谷光瑞氏の足跡をたどりながら、仏教を媒介にして日本とインドの結びつきを振り返った。そこでは、仏教が「アジア共同体」の精神的支柱となる可能性が秘められていたにもかかわらず、日清・日露戦争、第二次世界大戦を経て「日本仏教」が閉塞していった歴史があらためて浮き彫りになった。
 セッション2では、「社会の創造と護持―女性たちの役割」というタイトルで、バーラティー・ラエ氏が報告し、インドの女性たちが、西洋世界からの衝撃を受けつついかに創造的に伝統的価値を生かして社会づくりに参与してきたかを明らかにした。「女性は伝統的」とする価値観に対する批判や、インド独立運動における女性の役割、現代のインド女性が目指す価値観などが議論された。ラディカ・シンハ氏は、「地域ネットワークと『国際的』な旅行―1917-1920年における英印パスポートの考古学」というタイトルで、パスポート制度の導入と免除対象をめぐる変容が、海を越えて移動する人々に及ぼした影響について論じた。グローバル化がますます進む現在、西洋に由来するパスポートという制度が、それぞれの地域でさらにどのような変化と受容を遂げているのか、想像と議論がわいた。
 セッション3では、おびただしい数の写真資料をまじえつつ、K.T.ラヴィンドラン氏が「木造建築と汎インド的伝統」について論じた。石やレンガなど、より耐久力がある建材が用いられるようになったとはいえ、インドでは古代から現代にいたるまで、木材が気候や地域の伝統に適合する形で幅広く用いられてきた。建築様式に見出せるインドの多様性が、同じく木造建築を重視してきた日本の伝統と対比的に示された。続くラヴィ・ヴァスデーヴァン氏の報告は、「アジア映画研究における理論的座標―南アジア映画の視点より」である。大英帝国からもたらされた複製技術としての映画は、植民地インドで成熟し、新しい商品として旧植民地や旧宗主国に輸出された。デジタル技術の発達がめざましい現代では、都市や主体のイメージをグローバルに発信し、共有するメディアとなっている。「資源としての帝国」で胚胎し、グローバルに増殖するインド映画の現在が、貴重な映像資料とともに鋭く切り取られた報告であった。

■資料詳細 <資料1
 
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