「国際シンポジウム『経験をつなぐ―グローバル・コモンズとしての森林』」
<主催:京都大学地域研究統合情報センター/東京大学21世紀プログラム「生物多様性・生態系再生研究拠点」/龍谷大学アフラシア平和開発研究センター 後援:森林総合研究所/総合地域環境学研究所/国際林業研究センター(CIFOR)/地域研究コンソーシアム 協力:いりあい・よりあい・まなびあいネットワーク>
■報告者
■開催場所 :京都市国際交流会館 イベントホール
■開催日時 :2007年10月11日(木)-12日(金)10:00〜17:20
■議事録番号
【趣旨】
途上国における森林面積の25%が現在、コミュニティによって管理されている。広い意味での「共有林」である。その面積は過去15年間に倍増し、今後15年間で、さらに倍増すると予想されている。
 「共有林」の増加は、森林のもつ多面的機能は、森林を共有のものとすることで、最大限生かされるという考えに基づいている。新しい考えではなく、むしろかつては、森林の多くは共有されるものであった。より正確には、誰のものでもあり、誰のものでもない、「総有」されるものであった。
 しかし、近代化とともに森林の「所有者」が明文化されるようになり、一方で、多面的機能が無視さるようになった。
 立場によって「森林をどうみるのか」は異なってくる。一時的に利害が対立することもある。そのなかで、森林の「所有者」が、自分たちの利益を追求したため、たとえば森林のもつ公益的機能の損失といった地球全体の将来に関わる長期的な利益がないがしろにされるようになった。森林の荒廃は、一部の者が短期的利益を追求したため、全体が長期的な損失を蒙ったという、まさに「コモンズの悲劇」の典型的例である。世界的な「共有林の復活」は、こうした動きへの反省からであろう。
 本シンポジウムでは、日本の入会林など、かつての共有林のありかたを検証したあと、今日的な文脈のなかで、共有林をどのように維持し活用してゆけばよいのか議論する。
 共有林の維持と持続可能な利用には、「健全」な地域社会(コミュニティ)の存在が不可欠である。その地域社会のありかたは、それぞれ異なる。そのため、インド、メキシコ、中国、東南アジア、アフリカなどさまざまな地域での共有林の実態を、まず報告してもらう。そのうえで、世界的な共有林のあり方のイメージ、グローバル・コモンズに通じる発想、を共有できればと考えている。

【プログラム】
10月11日(木)

オープニング
10:00〜11:50

開会挨拶 田中耕司 (京都大学地域研究統合情報センター)
趣旨説明 阿部健一 (京都大学地域研究統合情報センター)

基調報告
1.井上真 (東京大学大学院農学生命科学研究科)
Collaborative Forest Governance: Experiences, Strategies and Design Principles

2. 室田武(同志社大学経済学部)
Wide Spectrum of Common Forest and Right of Access to Nature : A Comparative Study on the Cases of Japan and Northern Europe
入会林野と万人権の諸様相:日本と北ヨーロッパの比較検討

I.Managing Forest Benefits for Local Livelihoods
森の恵みを地域に活かす
13:00〜17:20

3. 奥田裕規(森林総合研究所 林業経営・政策研究領域)
Life in Mountain Villages and Forests in Japan: Thono City, Iwate Prefecture
山村の暮らしと森林

4. 山越言(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
Ecology and History of Peri-village Forest in the Forested Guinea, West Africa
西アフリカ、ギニア共和国における村落周辺林の生態史

5. Juan Manuel TORRES ROJO (経済教育研究センター、メキシコ)
The Importance of the Forest Community Sector in the Mexican Forestry and Rural Development
メキシコ林業における森林コミュニティー部門の重要性と農村開発

6. 生方史数(京都大学東南アジア研究所)
The ‘Scaling-up’ Attempts of Community Forest Management: Two Contrasting Cases in Yasothon Province, Northeast Thailand
コミュニティー林管理の「規模拡大」:タイ東北部ヤソートン県の対照的な2事例から

7. WANG Chunfeng (国家林業局、中国)
Commodity Chain Analysis on Commercial Timber Profits in Southern Collective Forest Region in China
中国南部集合林地域における木材収益の商品連鎖分析

コメント:市川昌広 (総合地球環境学研究所)

10月12日(金)

II. Ensuring Rights to Forest for Community Empowerment
森への権利と地域のエンパワーメント
10:00〜12:20

8. Hedar LAUDJENG (NGO バンタヤ、インドネシア)
島上宗子 (京都大学地域研究統合情報センター/龍谷大学アフラシア平和開発研究センター)
Toward the Legal Recognition of Customary Forests
森への慣習的権利の法的認知を求めて

9. Colin NICHOLAS (NGOオラン・アスリ研究センター、マレーシア)
Who Owns the Commons?: Assigning Representivity and Rights to Orang Asli Communal Forests

10. Anan GANJANAPAN (チェンマイ大学、タイ)
Multiplicity of Community Forestry as Knowledge Space In Northern Thai Highlands
タイ北部における「知識空間」としてのコミュニティー林の多重性

コメント:藤田渡(甲南大学文学部)

III. Rivitalizing Communities for Improved Forest Stewardship
森の守り人としてのコミュニティ:よりよい協働に向けて
14:00〜16:20

11. 三俣学(兵庫県立大学経済学部)
The Development and Challenges of Iriai/Commons Studies in Japan: On the Basis of Several Case Studies
日本における入会・コモンズ研究の展開と課題: 事例研究を踏まえて

12. Mangala P. DE ZOYSA(ルフナ大学、スリランカ)&
井上真(東京大学大学院農学生命科学研究科)
Community Forest Management in Sri Lanka: Concepts and Practices
スリランカにおけるコミュニティー林管理:概念と実践

13. Rana ROY (NGO VASUNDHARA、インド)
Community Forestry Management in Orissa, India: The Untapped Potential
インド・オリッサ州のおけるコミュニティー林の実践から

コメント:藤間 剛(森林総合研究所 国際連携推進拠点国際研究推進室)

総合討論
16:20〜17:20
司会:加藤 剛(龍谷大学社会学部/ 龍谷大学アフラシア平和開発研究センター)
■資料詳細 <資料1
 
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