「インド国民軍日本人関係者の聞き書き―第二次大戦における日印関係の一側面」
<第1班第4回研究会>
■報告者 :長崎暢子(龍谷大学国際文化学部教授)
■開催場所 :龍谷大学瀬田学舎智光館 B102共同研究室
■開催日時 :2008年1月25日(金)14:30-18:00
■議事録番号 :080125
ディスカッサント: 中村尚司(龍谷大学人間科学・宗教・総合研究センター 研究フェロー)

 長崎氏は、30年以上にわたって共同研究として行なってきたインド国民軍(第二次大戦において枢軸国の側に立ち日本軍と協力しつつインド独立のために戦ったインド人軍隊)に関係した日本人に対する聞き書きプロジェクトから判明した新事実について報告を行った。長崎氏はまずインド国民軍の概要について解説したうえで、聞き書きから浮き彫りになってきたこととして以下を挙げ、それぞれ説明を加えた。(1)日本軍の工作班と東南アジア在住インド人反英組織との結びつき、(2)インド国民軍と日本軍の軋轢・不平等の諸相、(3)軍事訓練や医療などをめぐっての両軍の良好な関係、(4)インパール作戦登場の経緯、(5)日印協力が部分的に成功した場面、(6)スバース・チャンドラ・ボースをいかに評価するか、(7)戦場(境界領域)においては国家の役割とともに個人の担う役割が非常に大きいこと。なお、この聞き書きは近々公刊される予定である。
 ディスカッサントの中村氏は、暴力と非暴力の問題について、暴力の中に身を置くことを余儀なくされていた人たちから多くを学ぶことができるというコメントをしたうえで、聞き書きからわかることとして、軍隊における位階システムの違い(成績順の日本軍に対し、インド国民軍では非エリートが重要な役割を果たしていたこと)などを補足した。また、この聞き書きプロジェクトに関わってきた田中敏雄氏は、聞き書きをした日本人の多くが、インド人を当初見下していたが後には敬意を持つようになったと話していたのが印象的だったと述べた。
 討論では、主にオーラルヒストリーの方法論をめぐって議論がなされた。そこではまず、インタビュイーがどの程度みずからの記憶を美化しているかという問いが出され、それに対し、逆に時間が経ったからこそやっと真実を語り始めることができるようになった側面もあることや、当事者の事実認識はしばしばインタビュアー側の予想を超えて多面的であったことなどが指摘された。
■資料詳細 
 
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