「中国における流域レベルの水汚染物質排出許可証取引制度−上海モデルの意義と課題−」
<第2班第4回研究会>
■報告者 :知足章宏(立命館大学国際関係研究科)
■開催場所 :龍谷大学深草学舎 紫英館2階第一共同研究室
■開催日時 :2008年2月2日 (土曜日) 午後1時半−午後4時半
■議事録番号 :070204
中国では、1980年代から汚染物質の排出権取引が一部で行われていた。これは発展途上国では画期的な事であるが、その実態はほとんど明らかにされていない。知足氏は、本報告においてこの制度的枠組み、具体的な取引、その成果など実態を明らかにしようとし、上海市黄浦江上流水源保護区における水汚染物質の排出許可証取引の事例の紹介から、「中国型」排出取引モデルの意義とその課題について論じた。
上海市黄浦江上流水源保護区における排出許可証取引は、「中国型」排出取引モデル(上海モデル)の成功事例として紹介される場合が多いが、その実態は現在先進国で行われているような排出権取引とは全く別のものであると言ってよい。実際の取引回数は1987年から1993年の間の30回に過ぎず、その大半が新規参入企業と既存の企業との間で行われており、自由な取引市場が存在するわけではない。また、総量規制の実効性そのものも不明瞭である。
このように、「中国型」排出取引モデルには多くの問題が存在するものの、技術・管理面での総量規制を実現する基盤を確立し、許可証の更新制などによって排出量の許容総量を段階的に削減できるような制度作りが実現すれば、中国独自のモデルとしてさらに発展する余地があるのではないかと、知足氏は結論付けた。
■資料詳細 
 
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