「国際社会における東ティモールへの対応」
<2008年度 第3班 第1回研究会>
■報告者 :石塚 勝美 (共栄大学国際経営学部 准教授)
■開催場所 :龍谷大学瀬田学舎 智光館地下B102共同研究室
■開催日時 :2008年5月10日(土)16:00-17:30
■議事録番号 :080510
【報告の概要】
 石塚報告では、まず、1976年のインドネシアによる東ティモール併合・統治問題に対し、国際社会および国連がいかなる対応をしてきたのか、冷戦期とポスト冷戦期に分けてその経緯を説明し、国際社会・国連における東ティモール問題に対する極端な対応の遅さを指摘した。次いで、国連による東ティモールにおける平和構築プロセスを詳細に明らかにし、?プランニング・設立準備、?安全保障の問題、?ガバナンス(統治)の問題、3点を課題として挙げた。端的に言えば、そのプロセスは、「介入→成功による介入縮小→問題再発と拡大化→より大規模な介入」の繰り返しであり、国連の「任務」と「功績」の多さに比べて、実際の成果は十分に上っていないといえる。特にガバナンスの問題においては、東ティモールの人々と国連職員との間の認識のギャップや、国連による統治への実質的な依存が問題として指摘された。報告者は、この問題を乗り越えるために、伝統的な平和維持活動(peacekeeping operations)から平和構築(peace-building)の明確な相違を認識し、後者は、その国の歴史・文化を理解した上で、その国の人々に密接に関与し、長期的な視野で、綿密で複合的な計画のもと、実施される必要があると結論した。

【議論の概要】
 議論では、大きく二つの論点が提起された。第一に、国連の活動に対する、現地の人々の反応についてである。「現地の人々の伝統的な組織や集団が機能しているのか」、「国連介入を批判し「ティモール化」を「叫んでいる」のは誰なのか」、「東ティモールの文化を「ゼロ・サム」の文化と要約できるのか」等の質問が上った。第二に、「伝統的PKO」と「平和構築」の違いを踏まえた上でなお、地域社会の文脈から長期的視点に立って考えた場合、国連による介入が果たしてよいのか、或いはオルタナティブはあるのかという論点である。今後ガス田開発が進み、東ティモールに莫大な利益がもたらされた場合、それが東ティモールによい結果をもたらすのか、それともニューカレドニアのフランスに対する依存のように、従属的な関係を強化するのではないかという具体的な懸念も寄せられた。これらの質問に対し、報告者は、国連活動の「透明性と説明責任」の必要性を指摘した上で、現地の人々の側の調査を今後の課題としたいと述べた。
■資料詳細 <資料1
 
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