「ベトナム・ストリートチルドレンの社会復帰促進における「ニッチ」NGOの役割: 「KOTO」と「Blue Dragon」の事例」
<第1班第5回研究会>
■報告者 :マイケル・ファーマノフスキー(龍谷大学国際文化学部准教授)
■開催場所 :龍谷大学瀬田学舎智光館B103共同研究室
■開催日時 :2009年3月17日(金)13:30-17:30
■議事録番号 :090317
【報告の概要】
 報告者のファーマノフスキー・マイケル氏は、ベトナムのストリート・チルドレンの社会復帰に取り組む2つの小規模NGO、「KOTO」と「Blue Dragon Children’s Foundation」の活動を報告した。
 ベトナムのストリート・チルドレンの問題は、?80年代半ばの市場経済導入とグローバル化による貧困の拡大、?85年以降の高い出生率と農村から都市への移動、都市計画の失敗といった人口・都市問題、?貧困世帯の家庭崩壊(児童虐待、育児放棄、一家離散)、に伴い深刻化した。2001年の統計によると、ハノイを中心とするストリート・チルドレンの人口は2万人に上るが、現在は減少傾向にある。彼らの多くは12〜15歳の低学歴で、深刻な家庭事情から自立を余儀なくされ、路上販売を中心として生計を立てる児童労働者である。
 従来のストリート・チルドレン問題の研究は、主に児童労働、搾取、貧困問題に焦点を当てており、政策・支援面では政府支援を伴う児童保護・ケアを目的とするユニセフ・プログラムや、政府による農村へのリターンが進められたがその影響は小さく、報告者はこうしたマクロレベルにおける政策・支援に疑問を呈している。
 一方で、報告の2つの小規模NGOは顕著な成果を見せている。その特徴は、個人・小集団により創設され、1都市あるいは1地域に拠点を置き、低賃金で熟練(又は未熟練)の現地スタッフと西洋人ボランティアにより構成されている。こうしたNGO は外国人社会や国際組織支援による資金提供によって運営され、その活動は狭義の行動指針に基づいて行われ、実践的、現実的な「最善の策(best practice)」を行う事を目標としている。成功の背景には個人や小集団の意思決定に依拠した実利的で迅速な実地研究、ならびに裕福な外国人社会の資金に伴った、富裕層の「社会的責任」のイメージがある。報告者はこうした諸特徴を備えるNGOに、従来のNGO研究にはない「ニッチNGO(「ニッチ」とは「独特な」の意)」という新しいコンセプトを導入した。こうした「ニッチNGO」の活動における、保護児童に対する職業教育の実施や、富裕層および外国人社会に向けたプロモーションやボランティア・ツアーといった奉仕活動の新たな展開は特筆すべき点である。

【議論の概要】
 討論では、ストリート・チルドレンの定義、又、「ニッチNGO」の現地住民に対する理解についてフロアより質問がなされた。加えて、研究対象として2つのNGOを取り上げた事由について考察する必要性が指摘され、その為には大規模NGOとの比較による成功要因の詳細分析を行い、「ニッチNGO」の重要性を示すことが必要であるとの意見が示された。
 
■資料詳細 
 
このページを閉じる