「国際社会における暴力の管理」
<第1班第1回研究会 >
■報告者 :佐藤史郎 (龍谷大学アフラシア平和開発研究センター・博士研究員)
■開催場所 :龍谷大学瀬田学舎智光館B103・104共同研究室
■開催日時 :2009年5月29日14:00-18:45
■議事録番号 :090529
【報告の概要】
 主権国家平等と内政不干渉の原則は、主権国家システムから成る「国際社会」において、国家間秩序を維持するための必要不可欠な原則である。とりわけ弱小国にとって内政不干渉の原則は、大国による介入を防ぐ効果をもつことから、きわめて重要な原則となっている。
 しかしながら、「人道的干渉(humanitarian intervention)」を嚆矢に登場した「人間の安全保障(human security)」、「保護する責任(Responsibility to Protect)」、「平和構築(peace building)」という諸概念の規範的展開は、内政不干渉原則の輪郭を侵食している。「弱小国は、自国の国民の生命・財産を保障していない場合、主権を主張する権利そのものが消滅する。それゆえ国際社会は、犠牲となっている他国民を救うべく、内政に干渉することができる」という認識に今や至ったのである。
 はたして、人権を重視する規範の展開をどう評価することができるのか。また、国家間秩序を重視する国際社会は、人間の秩序を中心とする「世界社会」へと移行しつつあるのか。報告者の佐藤史郎氏(本研究センター博士研究員)は、主権国家システムの「相対化」と「絶対化」をキーワードとして、これらの問いに対する回答を否定的に示した。すなわち、人権重視の規範が強化されているからこそ、主権国家システムが変容・強化されているのであって、現代世界は依然として「国際社会」の側面が強く、むしろ「世界社会」の側面は遠ざかりつつあると指摘した。


【議論の概要】
 討論者の土佐弘之氏(神戸大学国際協力研究科教授、本研究センター第1班研究員)は、主権国家システムの変容・強化を説明する際、主権国家というフォーマルなシステムから外された、インフォーマル・セクターの存在を考慮しなければならないと指摘した。
 また、インフォーマル・セクターが、フォーマルなシステムに対して「ヴァイオレンス」を用いる反面、フォーマルなシステムは、「ゲヴァルト」を用いてインフォーマル・セクターの「ヴァイオレンス」を封じ込めるようとしている。この「ヴァイオレンス」と「ゲヴァルト」との水平的ならびに垂直的関係は、主権国家システムとの文脈で考察する必要がある、と土佐氏はコメントした。
 そして、フロアーからは、世界社会から遠ざかる状況とは具体的にはどのような意味なのか、また、人道的介入その自体を規範的な視点からどのように評価するかなど、多くの質問がなされた。
■資料詳細 
 
このページを閉じる