「Trajectories of International Labour Migration in Southeast Asia: From Private Initiatives to Economic Partnership Agreements」
<第3班第4回研究会>
■報告者 :アイスン・ウヤル(龍谷大学アフラシアセンター博士研究員)、マリア・レイナルース・D・カルロス(龍谷大学国際文化学部准教授)、山川貴美代(龍谷大学アフラシアセンター リサーチ・アシスタント)
■開催場所 :龍谷大学深草学舎紫英館第1共同研究室
■開催日時 :2009年8月2日(日)14:00〜16:40
■議事録番号 :090802
【報告の概要】

第4回研究会では、“Trajectories of International Labour Migration in Southeast Asia―From Private Initiatives to Economic Partnership Agreements”と題する共同発表が行われた。

東南アジアは今日最も労働移動の活発な地域の一つであり、近年その形態は民間主導から国家間協定へとシフトしているといわれる。この共同発表は、各国のケーススタディを通して、国際労働移動のガバナンスメカニズムを分析することを目的として行われた。

まず、アイスン・ウヤル氏(アフラシアセンター)による発表“ASEAN Free Trade Agreement (AFTA) and Governance of International Labour Migration in Southeast Asia”では、東南アジアにおける労働移動の地域的なガバナンスメカニズムとして、AFTAによる移民政策の可能性が検討された。東南アジアには、インフォーマルな民間主導から政府間レベルの枠組みにいたるまで、多様なガバナンスメカニズムが存在している。このような現状において、各国政府に対する拘束力を持たないAFTAは、ガバナンスの主体となるのは困難であるとウヤル氏は述べた。

次に、マリア・レイナルース・D・カルロス氏(龍谷大学)による発表“Japan’s Acceptance of Foreign Careworkers within EPAs―The Cases of Indonesia and the Philippines”では、二国間経済連携協定(EPA)によるガバナンスとして、日本とフィリピン、インドネシア間における介護士受け入れの事例が分析された。カルロス氏は、労働移動のマネージメントは国家間の合意に基づいて行われるのが理想的だが、日本の場合、その実施は容易ではないと指摘した。例えば、日本政府は「同一労働同一賃金」という理念を掲げながら、実際には受け入れ施設による賃金格差が生じている。こうした事態は、省庁間のコンセンサスや長期的ヴィジョンの欠如に起因するとし、EPAによるガバナンスの成否は、受け入れ政府のコミットメントにかかっていると結論づけた。

最後に、山川貴美代氏(アフラシアセンター)による発表“The Professional Labour Mobility under India-Singapore CECA by Government-Private Partnership Initiative”では、政府と民間セクターの協同による労働移動のガバナンスとして、インド・シンガポール包括的経済協力協定(CECA)の相互承認協定(MRAs)の交渉過程が分析された。山川氏は、インド人専門職従事者のシンガポールへの移動の増大は、MRAsの締結に向けた両国の省庁レベルの共同委員会と、インド・シンガポール共同機関の官民の連携によるところが大きいと指摘した。

【議論の概要】

討論では、ディスカッサントの濱下武志氏(龍谷大学)から、受け入れ各国の移民政策の背景にあるそれぞれの歴史的社会的文脈を考慮し、移民政策のあり方を左右する諸要因を検討する必要性が指摘された。例えば、日本の移民政策の「曖昧さ」の背景には、在日コリアンの法的地位という歴史的問題がある。また、フロアからは、ローカルレベルの視座の必要性や、東南アジアの労働移動のガバナンスに対してべラ・バラッサの地域統合理論のもつ含意について議論が交わされた。本研究会での議論を踏まえ、この共同発表は第6回ICASにてアフラシア・パネルとして発表され、好評を博した。
■資料詳細 
 
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