「国際エネルギー・レジーム」
<第2回合同研究会「民主主義と紛争解決」第1部>
■報告者 :松井賢一(龍谷大学国際文化学部教授)
■開催場所 :龍谷大学深草キャンパス紫英館5階会議室
■開催日時 :2005年12月3日PM1:00−2:30
■議事録番号 :05000201
ディスカッサント:清水耕介(龍谷大学国際文化学部助教授)

1.報告の概要
 国際エネルギー・レジームには支配的な見方が存在し、それに応じて政府や国際機関の政策が決定される。こういう動きを理解するのに国際レジーム論が役立つ。国際エネルギー分野では国際石油市場管理レジーム、核不拡散・原子力発電レジーム、気候変動レジームの3つが存在する。国際レジームの形成において、エネルギー関係者(エネルギー企業、研究者、エネルギー担当行政官)、非エネルギー関係者(エコノミスト、環境学者、研究者、気候学者)、エピステミック・コミュニティ(アクティヴ・サイエンティスト、アクティヴ・インテレクチュアルス)の三者が第一次知識の発信者の役割を果たし、ジャーナリスト、学者、研究者、行政官は第一次知識の伝搬者となる。 発信される情報が無批判なままに幅広く受け入れられているのが現状であるが、その原因として、受け手が受け止めるしかない状況にあることが指摘された。現在、日本のエネルギー政策も新しい時代に入ろうとしている。日本の政府と民間にとって、次のグランドデザインを考える時期にきている。こういう難しい局面を迎えている状況の中で、知的抵抗力、構想力が求められている。

2.討論の概要
清水:まず、国際レジーム論自体が非常にアメリカに類似する印象がある。つまり、知識と権力の問題は長く議論・指摘されてきた問題である。なぜいま、「レジーム論」に「戻る」のか。構造主義的な諸理論は構造の再生産の説明はできる。その構造に問題があるのではないかという価値判断的なこと、またはその問題があるとすればそれをどう解決していくのか、という視座がわれわれの議論に必要である。構造の再生産をどう考えるか。 最後に、「受け手」として考えられるのは日本だけなのか。世界の知識人も含めて、ほとんどが受け手ではないのか。日本や日本以外で、受け手の状況からいかに脱却するのかという試みはあるか。

松井:市場原理を大前提とした現状を批判的に捕らえるために国際レジーム論は都合のいい理論であると思う。新たな国際石油管理レジーム論を考えるべきという含意もある。エネルギー分野ではそうである。新しいレジームをつくるとなると、いろいろな概念操作が必要になるということで、これからできれば海外の人たちと連携した新しいレジームをつくれたらいいと思う。いまなぜ知識ということに焦点をあててレジーム論をやるのか、その背景の一つは、大型の戦争ができなくなったこと。力によって、核戦争などもできない。知識によって支配する時代に差し掛かっているから。別のレジームに替わり新しいレジームができるのはどういうときか。大きなショックがおきたとき。最後の「受け手の対応」について日本が最適な例かなと思ったが、文献をよく見てないので、他にもいろいろ研究があるだろう。対抗知識としてはフランス、ヨーロッパ。日本は基本的にはアジアからの発信、別の価値観からの知を発信する時期にきているであろうと思う。
■資料詳細 <資料1
 
このページを閉じる