「シンポジウム「在日フィリピン人の介護人材養成:現状と課題」」
<第3班第1回研究会>
■報告者 :上野由香子(介護福祉施設長)、篠沢純太(在日フィリピン商工会議所会頭)、林隆春(人材派遣会社経営)、原田マリアフェ(ヘルパー派遣会社勤務・介護士)、間嶋アナベル(特別養護老人ホーム勤務、介護士)、安里和晃(龍谷大学)(報告順)
■開催場所 :(財)大学コンソーシアム京都・京都キャンパスプラザ第3会議室
■開催日時 :2005年11月6日(土) 13:30〜17:00
■議事録番号 :050301
 2005年11月6日に開催したシンポジウム「在日フィリピン人の介護人材養成:現状と課題」(第3班と龍谷大学国際社会文化研究所との共催)は、少子高齢化による介護市場での労働力不足が喧伝され、外国人労働者の導入という選択肢も議論されているなかで、すでに日本にいる外国人に焦点を絞ってさまざまな立場のパネリストを招いた。

 介護福祉施設の管理者である上野由香子さんは、外国人の雇用に前向きである理由として、人材確保が困難な状況、介護の質と介護者の国籍は無関係であること、また介護労働のグローバル化が閉鎖的な現場に与え得るプラスの影響などを挙げた。人材派遣会社を経営する林隆春さんは、外国人労働者とその子どもたちのおかれている不安定な現状をデータを挙げて指摘し、コミュニティの劣化を防ぐためにも、職業訓練による付加価値をつけて労働市場へ送り出す必要だと述べた。また外国人向けヘルパー講座の開催にあたっての行政の画一的な対応や教材の不備を批判し、「日本語は受講の入り口(参加条件)でなく出口でよい」と指摘した。フィリピン関連の出版・企画会社を経営する篠沢純太さんも、携帯電話が辞書代わりにフル活用されていると指摘し、在日フィリピン人受講生は子育て中あるいは一段落した30代半ばの女性が最も多く、日本社会に受け入れられやすい勤務先として、介護職への関心が高まっていることを報告した。

 介護士の原田マリアフェさんと間嶋アナベルさんは、日本人の配偶者として在日年数が長く、日本語コミュニケーション能力は高いが、介護の現場で敬語や専門用語を「書く」ことに苦労すると語った。訪問介護士である原田さんは、外国人であってもコミュニケーションをとれれば訪問介護も問題なくできるとし、施設に勤務する間嶋さんは、介護士になってやっと社会に認められたという強い達成感を得たと語ったが、16時間勤務であるとの自己紹介に会場からは驚きの声も上がった。最後に安里和晃氏は、研究者の立場から台湾やシンガポールでの外国人介護労働者の受け入れ状況を詳しく紹介し、もし日本が受け入れる場合は、日本側スタッフへの十分な研修、外国人との共同作業を前提としたマニュアルや書式の準備など、受入れシステムとマネジメントが鍵となることを強調した。

 定員オーバーとなる盛況で、研究者だけでなく、介護施設関係者、フィリピン人コミュニティ、教会、在日外国人にかかわる市民団体、在大阪フィリピン領事館員など参加者は多岐にわたり、活発な意見交換が行われた。シンポジウム報告書は希望者に配布する予定である。
■資料詳細 
 
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