「カンボジアの女性世帯主世帯の生計戦略−カンボジア シェムリアップ州の米作村を事例として―」
<第4班第3回研究会>
■報告者 :佐藤奈穂 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程
■開催場所 :龍谷大学深草学舎紫英館2F第4共同研究室
■開催日時 :2005年1月27日 PM3:00−6:00
■議事録番号 :05040301
コメンテーター:高橋美和氏(愛国学園大学)

 佐藤氏は、「女性世帯主世帯の生計維持戦略−カンボジア シェムリアップ州の米作村を事例として−」と題して以下のような報告を行った。
 これまで、開発分野において、女性世帯主世帯(Female-headed households:以下Fhh)は常に「貧困」な存在として貧困削減の対象とされてきた。しかし実際は、東南アジアの多くの国で、Fhhは「他の世帯よりも貧困割合が低い」との分析結果が出されている。それぞれの分析結果は相互に共有されておらず、現在でも貧困削減の対象に据えられており、貧困割合が高くならない要因は示されていない。そこで、内戦とポル・ポト時代の影響によりFhhが全世帯の約25%を占めるカンボジアに焦点を当て、Fhhの生計維持戦略を明らかにした。調査を実施したT村のFhhは、主に女性親族と拡大家族を形成し、労働力および家事労働力を獲得している。そして、女性が主な労働力となるFhhでは、女性の役割とされる食品売買に従事する傾向が見られた。特に、世帯内外の親族からの支援を受けながら、比較的高い収入の得られる食品加工販売に従事している。そして、女性労働力を獲得しているため、世帯内に家事労働力の余剰が発生し、都市部でのサービス業における女性労働力の需要に応えることが可能となり、比較的高く安定的な収入を得ていることを示した。Fhhは何ら選択的行動を取らなければ、多くの制約を抱え不利な状況に立たされることになる。しかし、カンボジアの社会制度、経済状況に支えられながらその状況を克服している。
 以上のような発表に対して、他世帯との差異を重視するばかりに、調査村において重要であるはずの稲作の議論が抜けていることが指摘された。また、Fhhの積極的な生計戦略だけでなく、夫の浪費等、夫がいることによりもたらされるマイナス面を考慮しては、との指摘があり、発表者も今後予定している長期調査において調査を行いたいとの旨が述べられた。
■資料詳細 
 
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