「個人的ネットワークと非農業雇用―フィリピン農村の事例」
<第2班第1回研究会>
■報告者 :加治佐敬(FASID国際開発研究センター研究員)
■開催場所 :大阪大学豊中キャンパス待兼山会館2階会議室
■開催日時 :2005年7月21日(木) 14:40-18:40
■議事録番号 :05020102
ディスカッサント: 中林真幸(大阪大学助教授)

報告者の加治佐氏は、フィリピンの農村部における人々の農業労働から非農業労働への移動に際して、教育のみならず個人的ネットワークが影響していることを示した。
個人的ネットワークは、特に小規模企業において強い影響力を持つ。なぜなら小規模企業の経営者は、労働者の離職率の高さに悩まされており、個人的ネットワークを使用することによって、かれらはそうしたリスクを回避できるからである。
一方、大企業においては個人的ネットワークの影響力は小さい。大企業は、労働者の怠業や予期せぬ離職を防ぐ人事管理システムを備えており、個人的ネットワークを利用する事はかえって高いコストを必要とするからだ。大企業においては主に学歴を基準に雇用がなされるのである。
農業労働から非農業労働への移動に際し、個人的ネットワークのような生来の要素が強い影響力を持つことは、貧困の減少という観点から見て好ましいこととは言い難い。しかしながら、フィリピンでは近年大規模工場の増加、技術職の拡大が顕著である。こうした流れは貧困の減少をより均等な機会のもとに達成しうる可能性を提供するといえるだろう。
また、公共の雇用機関を設立、機能させる事によって求職者に均等に情報が与えられれば、個人的ネットワークの役割はさらに減少するだろう。現在のところ公共の雇用機関は機能しているとは言えず、フィリピンの労働市場にフィットした雇用機関の設立は政策的な課題と言えるだろう。
ディスカッサントの中林氏は、先進国の事例では学閥等のネットワークがホワイト・カラーの労働者に見られることを指摘し、フィリピンの大企業の熟練労働者においても同様のネットワーク形成が見られるのかという疑問を投げかけた。
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